業務の流れ

当社では一つの受注案件につき、下記のような流れで業務を進めていきますが、一案件を一人が担当するのではなく、全員で作業を分担して一つの案件を完成させていきます。
社員数が10名強、平均年齢が38歳(2021年3月現在)の小さな企業なので、常に協力体制で作業にあたります。
進捗を全員で共有し、作業の遅れや経験不足をたがいにカバーしながら、最良の納品を目指すのです。

 

入札参加・契約 → 調査前の準備 → 現場調査 → 製図・設計 →納品

(1)入札参加・契約

 

都や県の案件を請け負うためには入札に参加する必要があります。
無事落札できたら、警視庁や各県庁(県警察)と契約を交わし、おおもととなる図面や仕様書などの資料を提供していただきます。
民間の工事施工会社から発注を受けた場合も、入札以外はほぼ同じ段取りです。

 

(2)調査前の準備

 

調査に行く前に、受けとった資料を参照しながら、まずは下準備です。
納品までの日数はおおよそ1ヶ月~3ヶ月。無理なく確実に進められるよう、社内会議で作業スケジュールと分担を決め、注意点などの情報を共有します。
また、調査対象となる交差点は数十件、多いときは百数十件もあるので、それらを効率よく回れる車・電車のルートを調べ、該当箇所の地図を用意します。
場所はおもに東京都内ですが、案件によっては埼玉県内や栃木県内を回ります。
調査に必要な機器や工具に不備・不足がないかどうかも、あらかじめチェックしておきます。

 

新人のかたには、他のスタッフたちと一緒にこの下準備に携わっていただきます。

 

(3)現場調査

 

準備が整ったら、いよいよ現場調査スタートです。
通常、1交差点につき1~3人のスタッフで調査をします。
ウォーキングメジャーを使って歩きながら道路幅や信号機、信号施設の位置を測る作業、信号施設の状態を確認し記録する作業、道路や信号施設の写真を撮る作業などを分担して行いますが、シンプルで小規模の交差点ではそれらの作業を1人で行うこともあります。

 

場合によっては、発注元の担当者が現場に立ち会い、信号機や機器をどのように設置・変更するかを当社のスタッフと話し合います。

 

現場調査の一環として、管路調査も行います。
信号機と信号施設を動かすためのケーブルが地下を通っている場合、ハンドホール(地下配線用のマンホール)内に入って通線の状況を確認し、撮影する必要があります。
安全と効率を考え、この作業は3~4人が1組になって実施します。

管路調査では地下のハンドホールにも下ります
管路調査では地下のハンドホールにも下ります
図面片手に器用にウォーキングメジャーで計測
図面片手に器用にウォーキングメジャーで計測

また、現場調査と並行しながら、埋設物調査も進めていきます。
地下には信号ケーブルの他に、水道や電気などの配管・配線が通っています。該当の交差点にそれらが埋設されているかどうかを事前に確認し、図面を取得しなければなりません。
図面は水道局や電力会社、ガス会社、NTTの窓口、あるいはweb上で取得します。

 

いずれの調査も、まずは先輩社員が常に新人のかたにつきそって教えていきます。未経験の作業を指導なしに任せることはありません。
原則として、実践の前に何度か測量のトレーニングを行います。実際に現場へ出る際も、最初は先輩社員に教わりながら一緒に調査をしていただきますが、慣れてきたら小規模の交差点を1人で調査できるようになります。
そこから徐々に、交通量の多い複雑な箇所をこなせるようになっていただきたいと思います。

 

(4)製図・設計

 

現場調査をひととおり終えたら、ここから先はほぼ事務所内での作業です。
AutoCADを使用して交差点の図面を描いていきますが、提供された図面と現況が異なる場合は、調査で得た情報を優先して図面に反映させます。

 

また、当社ではスタッフ全員が、製図のルールにのっとった、正確で統一感のある「見やすい図面」を常に心がけています。そのような図面を提供することで、後工程を担う各企業や発注元がスムーズかつ安全な工事を実施できるからです。

AutoCAD画面の例
スタッフの半数はAutoCAD未経験からのスタート
事務所内
PCは1人1台を貸与

社内で製図作業を進めつつ、現場責任者は報告を兼ねて、発注元の担当者と何度か打ち合わせをします。
そこで受けた指示や要望を踏まえて、設計を練り直し、図面に適宜修正を加えます。

 

AutoCAD未経験のかたには、先輩社員がCADの操作方法から順に指導します。最初は図面をトレースする練習から始めていきましょう。
覚えなければいけない製図のルールはたくさんありますが、マニュアルがあり、いつでもベテランのスタッフに質問できる環境が整っているので、安心して着実に覚えていってください。

 

(5)納品

 

図面の完成が近づいてきたら、同時進行で納品準備にとりかかります。
図面だけでなく、現場の写真や、場合によっては道路・河川敷に関する書類も提出するので、準備にもそれなりの日数がかかりますが、この作業も皆で分担し、漏れのないよう慎重に必要書類を作成していきます。
すべて整ったら、書類一式を発注元に届けて検収を受け、ようやく納品の完了です。

 

下準備の時と同様、他のスタッフと一緒に納品準備を行っていただきます。

 

現場調査も製図も、はじめのうちは簡単なレベルからのスタートになりますが、業務に慣れ、ケーブルや配線の仕組みなどを理解できるようになったら、いずれは設計を担うスペシャリストとして活躍していただきたいと思っています。